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所有-今度こそ、共に。4

※だんだんと糖度が増して行きます・・注意!


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それから二週間も経った頃。
私達の関係は妙にぎくしゃくしていた。
連日仕事が忙しく、互いにかまけている暇もなかったが、私にはそれが何となく感じ取れた。
始めは、自分が変に意識してしまっていただけだったのかもしれないが、佐伯にもそれが伝わったのだろう。
しかし、佐伯はいつも通りに私に接し、何も言ってはこなかった。

いつまでこの感じが続くのだろう。
いっそ胸に秘めた不安を佐伯に全部言ってしまえば楽になれるのかもしれなかった。
そうだ、そのほうがいい。
このままぎくしゃくした関係が続くよりは。

今日は、佐伯の方から久しぶりに一緒に食事にでも行きませんか、と誘いを受けていた。
その時に、全部伝えよう。
そして、佐伯が何か私に言いたいことがあるのなら、はっきりと言ってくれればいい、と。

仕事を早めに切り上げ、連れていかれたのは都内の一郭にある高級レストランだった。
黒と白のモノトーンをベースに店内は落ち着きのある内装になっており、窓から外を見れば、夜の街のネオンが美しく輝いていた。

テーブルに並べられた料理を、注がれたワインと共に味わう。

「気に言ってもらえましたか?」
「ああ…悪くない」

佐伯に問われた問いに、素直に返す。
出された料理が美味しいからか、店内の雰囲気が落ち着いているからかはわからないが、二人の間には穏やかな空気が漂っていた。
久しぶりに過ごす二人だけの時間。
あれだけ感じていた不安や気まずい雰囲気はいつの間にかなくなっていた。

「佐伯…」

話さなければならないと思った。
ずっと感じていた不安。自分の腑甲斐無さ。
そして、いくら事故に遭ったからとはいえ、迷惑をかけてしまった事への謝罪の言葉。

「すまなかったな…」

と、素直にそう告げた。
全部、話してしまった。緊張して上手く言葉に出来ないかもしれないと不安だったが、それは難なく言葉になった。
きっと、今の穏やかな雰囲気が御堂自身を落ち着かせてくれたのだろうと思った。
そして何より、言葉を紡いでいく御堂を見る佐伯の目が、真剣で、それでいて優しかったから。
佐伯は御堂が話し終わる最後まで、黙って話を聞いていた。

「言いたいことは、それで全部ですか?」
「あっ、ああ…」

そう答えた御堂を、克哉は黙って見つめたかと思えば、突然椅子から立ち上がり御堂の手を掴んだ。

「…なっ…佐伯!?」
「来い」
「お、おい佐伯…!」

突然掴まれた手を思い切り引っ張られ、そのまま克哉は支払いを済ませると御堂の手を引き店を後にした。

「…おい!佐伯!いい加減にしろ…いったい何処へっ…!!」

御堂がいくら手を振りほどこうとしても、克哉はただ無言で足早に御堂の手を引くだけだった。

「…っさえ…」

嫌な予感がした。もしかして、怒っているのだろうか。
やはり、全て打ち明けるべきではなかったのか…。
私の話を聞いて、佐伯は怒っている。でもそれも…

(当たり前、か…)

自分の醜態を晒したも同然なのだから。
どうしても上手くいかない自分に、情けなさを通り越して悲しくなってくる。
どうしてこうも佐伯の事となると上手くいかないのだろうか。

(全く、私は………)

自分に呆れ思わず自嘲の笑みを溢した。

---------


どのくらい歩いただろうか。
店を出てから、ずっと無言で足早に歩いていた克哉が、唐突に足を止めた。

「…っ!?」

急に止まられ、御堂は克哉の背に身体をぶつけてしまう。

「…っ急に…」

止まるな、と文句を言おうとしたところで、はっと気付く。
ここは、この場所は…もしかして…

そこは、あの時の場所だった。
遠くにはビルの灯りが、街灯には光が灯り夜の闇を照らし出す。
夜の静けさを漂わすその場所は、佐伯と御堂が再会し、初めて二人、心が通いあった場所。
雪の降る中、初めてキスを交わした、あの場所だった。

「佐伯…」

どうして、何故急にこの場所に…?

そこで克哉は、先ほどからずっと握っていた御堂の手をやっと放した。
しかし、それでもずっと、克哉は御堂に背を向けたままだった。
沈黙が痛い。不安になる。

「御堂さん…」

静寂を切り裂き克哉がやっと口にした言葉。
そして、次には克哉は後ろを振り向き、今度ははっきりと御堂を見据え口にした。

「あんたは…何もわかってない」

そう言った克哉は、怒っているのか哀しんでいるのかわからない複雑な表情をしていた。
そうして、克哉は少しずつ、話し始めた。

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街灯には光が灯り、ビルのネオンが光る夜の街。
かつて御堂と再会し、ようやく心が通いあったあの時の場所。
そこで今、俺は御堂を見据えて言葉を紡ぐ。
夜の静けさが漂う空間で、自分の声だけがやけに耳に響いていた。

御堂は俺に全てを打ち明けてきた。
ずっと感じていた不安。
足手纏いなのではないかと思っていたこと。
結婚式に行って来いと俺が言ったのは、もしかして自分が邪魔だったからではないかということ。
事故に遭って、結果迷惑をかけてしまいすまなかったということ。
そして、その全てに俺が怒っているのではないかということ。

言いたいことがあるなら言ってほしいと御堂は言った。

ああ、言いたいことなら山程あるさ。
そんなこと…

「…そんなこと俺は何一つ思ってなんかない」

怒ってなんているわけがなかった。
ましてや御堂の存在が邪魔だなんて…

「俺はあんたのことが邪魔だなんて思ったことは一度もない」

腹が立っていたのは本当だった。
それは、自分が御堂を不安にさせていた事と、自分の思いが御堂に全く伝わっていなかった事への腹立たしさ。

「俺は、あんたの事になると上手くいかなくなるんだ」

あんたを式に無理にでも行かせたのだって、あんたの為を思っての事だった。

「本当は行かせたくなどなかった。」

楽しそうに友人と話す御堂を見て、俺は心の奥では嫉妬していた。
自らの内に沸き起こる黒い感情。
しかし、それを表に表せば、また御堂を傷付けるかもしれない。
静かに内に燃える青白い炎を抑え、御堂のためになるならば、と行って来て下さいと言ったのだ。
しかし、その行為も裏目に出て、結果御堂を事故に遇わせる形となってしまった。

「あんたが事故に遭ったと聞いた時、意識不明だと聞いた時、心臓が止まるかと思った…」

やはり行かせるべきではなかったと、どんなに後悔したか…。

「病院に駆け付けて意識が戻らないかもしれないと告げられた時、俺がどんな思いだったか…」

意識が戻らないだなんて、考えたくもなかった。

「あんたが目覚めた時、俺がどんなにっ…」

あんたを無理に抱いたのだって、あんたがこのままいつか居なくなってしまうのではないかと不安に駆られたからだ。
あんたに触って、抱きしめて、キスをして…あんたを俺の所に繋ぎ止めておきたかった。ただそれだけ。

「迷惑だなんて言わないで下さい…」

俺はあんたが側にいてくれれば、ただそれだけで―…

俺の言葉は、ちゃんとこの人に届いているだろうか。
自身の声が震えていないか不安になる。

「あの時、貴方は此処で、俺のことを好きだと言った」

やっと、互いの気持ちが通じ合ったその日。

「あの時の、貴方の言葉は嘘じゃないんでしょう」

そうして確かめるように、俺は御堂へと問いかけた。
暫しの沈黙。訪れた静寂はほんの僅かだったかもしれないが、俺にとっては途方もなく長い時間のように感じられた。

その時、俺の言葉をただじっと黙って聞いていた御堂の身体が動いた。

次の瞬間、気がつけば、俺の身体は御堂に抱きしめられていた。
まるですがりつくように、御堂は俺の身体に抱きついてきた。

「…き、だ」
「…御堂…?」

静寂を切り裂き御堂の口から紡ぎ出されたのは、小さく掠れた声。
しかし、次には耳元で言われたそれははっきりと声になり、耳の奥へと響いた。

「…す、きだ……私は君が…好き、なんだ………」

それは、しっかりと御堂から発せられた言霊。
ジン、と心の奥にまで響く声。
ゆっくりと、御堂の顔を自分へと向かせれば、御堂の頬はほんのりと赤く染まっていた。

視線が合うと、恥ずかしいのか、御堂はふい、と目を逸らした。
その仕草に、思わず笑みが溢れる。
そして、その艶やかな薄紅色の唇に、優しく口付けを落とした―…。

「んっ……」

唇を食むようにキスをしてやれば、御堂は熱く掠れた吐息を漏らした。
そっと、唇を離せば、御堂は物足りないとでも言うように俺を見る。
何か物言いた気な目をじっと見つめれば、自分がどんな顔をしているか解ったのか、さらに頬を赤く染め顔を逸らした。
その仕草をとても愛しいと感じながら、俺は御堂へ向けてそっと呟いた。

「俺も…あんたのことが好きだ」

そしてまた、今度は深く深く口付けを交わした。

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