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所有-今度こそ、共に。6





私達には、言葉が足りていなかったように思う。
身体から強引に始まった私達の関係は、繋がっているようで酷く曖昧なものだった。
時に言葉で足りないものを身体で求め合い、然れど補いきれず擦れ違った思いは歪みを増し、不安は増してゆくばかり。

しかし、言葉に出して伝えてみれば、それは自分だけの独り善がりだったことに気付く。
そして、その不安が却って佐伯を傷付けていたことにも。

強引で乱暴で、強姦という形で始められた異常な関係。
しかし、ある時佐伯は私のことを好きだと言って私を解放した。
そう、佐伯が言葉にして好きだと伝えてくれたから、私も佐伯を好きになることが出来た。

あの場所で再会した日、そこで初めて口付けを交わした。
ようやく繋がった心。しかしまた、いつの間にかすれ違い離れかけていた心。
それをまた、同じ場所で繋ぎ止める。

言葉を通じて通い合った心。
しかし、それでもまだ心の奥底から止め処なく溢れてくる思い。
湧き上がる思いを今度は身体で交わし、互いを求め合った。
何度も何度も、互いの存在を確かめるように。自身の存在を、相手に刻みつけるように。
もう二度と、互いの心が擦れ違い離れ離れにならないように―…。

-----------

翌朝、御堂が目を覚ますと、克哉はもう仕事に行く仕度を始めていた。
目を覚ました御堂に、克哉はおはようございますと声をかけてくる。

「ああ、おはよう」

少し目を擦りながらそう答える。
まだ気だるい身体を起し、御堂はとりあえずシャワーを浴びようと立ち上がった。

「…っ」

突然、腰に走った痛みに眉を顰める。

「大丈夫ですか?無理をさせてしまったかもしれません」

もう少し休んでいてもいいですよと心配そうに言われたが、平気だと返した。

「大丈夫だから気にするな。それより、シャワーを借りるぞ」

そう言った後、御堂は昨夜の自分の発言を思い出した。
恥ずかしさに身体が熱くなる。
それには気づかれまいと、御堂はバスルームへと歩いて行った。

シャワーを浴びた後、部屋に戻ってくれば、そこには二人分の朝食が用意されていた。

「一緒に食べましょう」
「あ、ああ。すまない」

克哉に言われるまま席につく。
一通り食べ終わった後、克哉はキッチンからワインを持ってきた。

「これ…」
「………?」
「本当は退院した日に渡せれば良かったんだが、正直かなり仕事が立て込んでいて買いに行く暇もなかった」

そう言っておもむろにそのワインを手渡される。

「退院祝いだ。遅くなって悪かった」
「これは…」

それは、以前から御堂が好きだと言っていたワインだった。

「佐伯…。退院祝いだなんてなんだか気を使わせたみたいだな、すまない」

そう言いながらも、わざわざ自分の好きなワインを用意してくれたことが素直に嬉しかった。

「それと…」
「まだ、あるのか……?」

ワイン一つでも十分なのに、まさか他にもあるのかと思い御堂が聞けば、
克哉は今度は何処からか小さめの箱を取り出した。

「これは、本当は昨日渡そうと思っていたんだ」

そう言って、克哉は御堂にその箱を渡した。

「開けてみてくれ。気に入ってくれると嬉しい」

そう言われ、御堂が箱を開けるとそこに入っていたのは銀色に輝く小さな輪…。

「こ、れは………」

御堂は驚きのあまり目を見開いた。

「これは、さ、佐伯…、一体、どういう………」

どういうことだと訴えるような目で見れば、克哉はクスリと笑った。

「どういうって……そのままの意味ですよ」

驚き動揺を隠せていない御堂の様子を克哉は楽しそうに見ている。

「そのままって…はっきり言ってもらわないとわからないっ」
「はっきり、言って欲しいんですか?」
「……っ」

そうして克哉はニヤリと意地悪な笑みを浮かべた。

「これから先、あんたと俺が共に歩むという証だ。心配性なあんたへの、な」
「だっ、だったら……何も別に指輪じゃなくても………」
「別の物でもいいとは思ったんだがな。でもこの方が、"らしい"だろう?」
「…っ……馬鹿か、君は………」

思わずそう悪態をつくも、御堂はそれ以上反論することが出来なくなっていた。
嬉しかった。
どんなに言葉で交わしても、どんなに身体を繋げても。
形に残る証を貰えたことが、とても―…。

「でも、私はこれはつけないぞ…?」

さすがに指輪をはめているのは恥ずかしいとゆうのか、御堂はそれでもいいな、と確認するように話す。

「はめずに仕舞っておいても別にかまいませんが、俺としては、してもらったほうが嬉しいですね」

それに、虫除けにもなるしな、と克哉はさらりと言った。

「虫………?」

怪訝な顔をした御堂を見て、克哉はクスリと微笑んだ。
自分を見る紫苑の瞳。綺麗なその目をしっかりと見据える。

「あんたは俺のモノだっていう証だ」

そう言えば、御堂は咄嗟に何か言おうと口を開いたものの、それが声になることはなかった。
そうして、あきれたように、ふうとため息をついてそっぽを向いてしまう。
そして、先程渡したワインを手にし、椅子から立ち上がった。

「もう、会社に行かなければ…」

そのまま、指輪は受け取ってもらえないのかと思ったが、御堂はふいにテーブルの上に置いた箱も手に取った。

「これは、貰っておく。その………」

何か言いずらそうに、御堂は克哉からを顔を背けたままで言葉を口にした。

「ありが、とう……」

そう言って御堂の口から途切れ途切れに出た言葉。
顔を背けていても、御堂の耳が赤くなっているのが克哉には見てとれた。

「先に行く」

そして、御堂は先に部屋を出て行ってしまった。
御堂の反応を最後まで見ていた克哉は、こぼれる笑みを抑えることが出来なくなっていた。
驚いたり、照れた表情を思い出す度、笑いが止まらない。

「サプライズは成功だな」

そうぼそりと一人呟くと、克哉もまた、会社へと出勤して行った。


絶対に、手離すことのないように、離れることにないように。
誰にも渡さない。たとえ神にだって連れてなど行かせるものか。
何があっても、二度と、離れることのないように。これからも、ずっと…。

克哉が渡した誓いの証。
それは御堂の手の中に、大切に握られていた―



FIN-今度こそ、共に。



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